Windows Server 2025 の iSCSI ターゲット サーバーに、Windows Server 2025 からマルチパスで接続してみます。
- 今回の環境
- 1. iSCSI ターゲットの設定
- 2. iSCSI ターゲットへの接続
- 3. マルチパス接続後の様子(iSCSI ターゲット側)
- 4. マルチパス接続後の様子(iSCSI イニシエーター側)
今回の環境
複数のネットワーク アダプターを搭載した Windows Server 2025 で、iSCSI ターゲットとイニシエーターを用意してあります。
iSCSI ターゲットの Windows マシン
iSCSI Target は、Windows Server 2025 で下記のように構築してあります。
- Windows Server 2025 の iSCSI ターゲット サーバーを PowerShell で構築してみる。
- iSCSI ターゲットには、1つのディスク(1GB、200GB)が登録されています。
iSCSI 接続用に、2つのネットワーク アダプターを追加してあります。今回はネスト構成なので、下記のように追加しています。
iSCSI 接続用の IP アドレスは、下記の2つです。
- 192.168.44.31
- 192.168.45.31

iSCSI 接続用ネットワーク アダプターでは、デフォルト ゲートウェイを空欄にしてあります。

iSCSI イニシエーターの Windows マシン
iSCSI ターゲットと同様に、iSCSI 接続用のネットワーク アダプターを2つ追加してあります。IP アドレスは次の2つです。
- 192.168.44.13
- 192.168.45.13

マルチパス I/O を管理する、MPIO をインストールしてあります。
1. iSCSI ターゲットの設定
1-1. リスニング アドレスの指定
サーバー マネージャーで、「ファイル サービスと記憶域サービス」→「サーバー」を開き、サーバー(LAB-ISCSI-01)を右クリックして「iSCSI ターゲット設定」を開きます。

iSCSI 接続で使用しない IP アドレスのチェック ボックスを OFF にして、「OK」をクリックします。

これで、iSCSI サービス(TCP 3260 ポート)をリスニングする IP アドレスが変更されます。
PS C:\> Get-NetTCPConnection -LocalPort 3260 -State Listen | select LocalAddress,RemoteAddress,RemotePort,State | sort LocalAddress LocalAddress RemoteAddress RemotePort State ------------ ------------- ---------- ----- 192.168.44.31 0.0.0.0 0 Listen 192.168.45.31 0.0.0.0 0 Listen
1-2. イニシエーター IP アドレス登録
サーバー マネージャーで、「ファイル サービスと記憶域サービス」→「iSCSI」を開き、iSCSI ターゲット(target1)を右クリックして「プロパティ」を開きます。

「イニシエーター」を開き、不要な IP アドレスが登録されている場合は削除します。

「追加」をクリックします。

「選択した種類の値を入力」を選択して、パラメータを入力して「OK」をクリックします。
- 種類:IP アドレス
- 値:192.168.44.13

IP アドレスが追加されたことを確認して、ふたたび「追加」をクリックします。

「選択した種類の値を入力」を選択して、2つめのパスのパラメータを入力して「OK」をクリックします。
- 種類:IP アドレス
- 値:192.168.45.13

「OK」をクリックします。

これで、iSCSI ターゲットにイニシエーターの IP アドレスが 2つ登録されました。

2. iSCSI ターゲットへの接続
2-1. ターゲット ポータルの探索
サーバー マネージャーで、「ツール」→「iSCSI イニシエーター」を開きます。

初回起動時はサービス起動の確認メッセージが表示されるので、「はい」をクリックします。

「探索」タブで、「ポータルの探索」を開きます。

iSCSI ターゲットの 1つめの IP アドレスを入力して、「OK」をクリックします。
- IP アドレスまたは DNS 名:192.168.44.31

ターゲット ポータルが追加されました。

2-2. ターゲット ポータルへの接続
「ターゲット」タブを開き、検出されたターゲットを選択して「接続」をクリックします。

「複数パスを有効にする」のチェック ボックスを ON にして、「詳細設定」をクリックします。

ターゲット ポータルの IP アドレスを選択して、「OK」をクリックします。
- ターゲット ポータル IP:192.168.44.31 / 3260

「OK」をクリックします。

これで、ターゲットの状態が「接続完了」になりました。

2-3. iSCSI セッションの追加
「ターゲット」タブで、ターゲットが選択された状態で「プロパティ」を選択します。

「セッションの追加」をクリックします。

「複数パスを有効にする」のチェック ボックスを ON にして、「詳細設定」をクリックします。

ターゲット ポータルの2つめの IP アドレスを選択して、「OK」をクリックします。
- ターゲット ポータル IP:192.168.45.31 / 3260

「OK」をクリックします。

2つめのセッションが追加されたことを確認して、「OK」をクリックします。

これで、2つのセッションでイニシエーターからターゲットに接続されました。
PS C:\> Get-NetTCPConnection -RemotePort 3260 | select LocalAddress,RemoteAddress,RemotePort,State | sort LocalAddress LocalAddress RemoteAddress RemotePort State ------------ ------------- ---------- ----- 192.168.44.13 192.168.44.31 3260 Established 192.168.45.13 192.168.45.31 3260 Established
iSCSI ターゲットの Windows でも、下記のように TCP セッションが確認できます。
PS C:\> Get-NetTCPConnection -LocalPort 3260 | select LocalAddress,RemoteAddress,RemotePort,State | sort LocalAddress LocalAddress RemoteAddress RemotePort State ------------ ------------- ---------- ----- 192.168.44.31 0.0.0.0 0 Listen 192.168.44.31 192.168.44.13 49826 Established 192.168.45.31 0.0.0.0 0 Listen 192.168.45.31 192.168.45.13 49832 Established
2-4. デバイスのバインド
「ボリュームとデバイス」タブで、「自動構成」をクリックします。

ボリュームの一覧に、「~mpio~」が含まれるボリュームが表示されたことを確認して、「OK」をクリックします。iSCSI ターゲットには 2つのディスクが登録されているので、2件表示されています。

Windows を再起動して、iSCSI ターゲットに自動接続されることを確認しておきます。
3. マルチパス接続後の様子(iSCSI ターゲット側)
サーバー マネージャーで、「ファイル サービスと記憶域サービス」→「iSCSI」を開き、iSCSI ターゲット(target1)を右クリックして「プロパティ」を開きます。

「接続」を開くと、セッション数が「2」になっています。

4. マルチパス接続後の様子(iSCSI イニシエーター側)
4-1. iSCSI イニシエーターでの確認
iSCSI イニシエーターの Windows で、サーバー マネージャーの「ツール」→「iSCSI イニシエーター」を開きます。
「ターゲット」タブでターゲットを選択して、「デバイス」をクリックします。

2デバイスに対して2パスで接続しているため、4件のデバイスが表示されています。
デバイスを1つ選択して、「MPIO」をクリックします。

2件のパスが表示されているので、片方を選択して「詳細」をクリックします。

ターゲットの片方の IP アドレスが表示されていることを確認して、「OK」をクリックして閉じます。

別のパスを選択して「詳細」をクリックします。

ターゲットの、別の IP アドレスが表示されていることを確認します。

4-2. ディスクの管理(diskmgmt.msc)での確認
「ディスクの管理」を開き、iSCSI ディスクを右クリックして「プロパティ」を開きます。

「全般」タブなどで、Multi-Path Disk Device として認識されていることを確認します。

「MPIO」タブでは、このデバイスに2つのパスがあることを確認できます。

以上。